住宅の高断熱化の方法~気流止め~
断熱の基準を高めたり補助金を出したりなど国でも高断熱化を推し進めており、昨今の電気代高騰により住宅の高断熱化は何かと関心が高いワードのように思います。
今回は高断熱住宅の基本を学べるセミナーが開催されたので参加してきました。
目次
今回は気流に注目!~様々ある断熱の考え方~
断熱性能を高めるためには材料や工法など様々な考え方・アプローチがあると思いますが、今回は気流に注目したセミナーでした。
気流とは住宅の壁の中や天井、屋根裏、床下を流れる空気の流れのこと。
すべての住宅に当てはまるわけではありませんが、昔の住宅は構造、材料の劣化等で壁体内の気流が発生し、その気流により熱の移動が起こるため断熱性能が低いとのことです。
この気流を止めることで断熱性能を高めよう、というのが今回のセミナーのおおまかな内容です。
気流が生まれる箇所~床下を例に~
セミナーでは実物模型を使ってどのように気流を止めるかを見せてくれました。
以下は床下の例です。
土台(大きい木材)の上に根太(少し小さい木材)がありその上に床が張られているのですが、この構造ですと床下の空気が根太の間から壁の中に侵入し、気流が生まれます。
写真はグラスウールを詰めて下からの気流を防ぐ方法ですが、ほかにも木材で気流止めを作ったりととにかくここの流れを止めることが大事!とのことでした。
気流止めの効果
こちらは様々な断熱方法による断熱性能を比較したグラフですがちょっと詳しく見てみましょう。
1A:壁の中にグラスウール、単板のアルミサッシ(断熱性能は高くない窓)を使っている昔の標準的な住宅です。外壁からの熱損失が大きいことがわかります。
1C:開口部に少し性能がよい内窓をつけた住宅です(今実施されている補助金でつけれられる内窓)。開口部の熱損失は1/3程度に軽減されています。
1B:気流止めの設置。外壁の熱損失が1/2程度に軽減されたほか、換気部の熱損失も軽減され、全体的に2/3程度に熱損失は軽減されています。
1D:気流止め+内窓の設置。1Aに比べると熱損失は半分程度に抑えられます。
高断熱化のためには何からすればいいのか!?
今回は気流を中心に高断熱化を教えてもらいました。
1Dまでやればより断熱性能は高まりますし、もっと細かいところまで突き詰めればもっと断熱性能の高い住宅になるかもしれません。
しかしそれぞれの住宅で状況は異なりますし、予算も限られています。
その中でどこを優先に考えていくべきか、というのも今回のテーマでした。
内窓をつけるものもちろんいいですがまずは気流を止めることを考えよう、予算がなければ家全体ではなく居住空間だけでも気流を止めてもよい、とのことでした。
気流をチェックする簡易的な方法
自分の家の壁体内では気流が発生しているのか。
床と壁の取り合いの部分やコンセントやスイッチのところに手をかざしてみてください。
ここで冷気を感じれば壁体内で気流が発生しています。
そうなると気流止めによる断熱性能の効果はあるでしょうし、冷気を感じなければ気流はそこまで発生していないのかもしれません。であれば内窓をつけることで断熱性能はより高まると考えられますが、これはあくまでも簡易的なチェック・検討方法ですので、本格的調べたい方はお問合せいただければと思います。