値下げの代償

3月7日付東奥日報より。
事業費の膨張によりむつ市の病院建設が白紙になったとのことです。

予算が当初の2.2倍になったとのこと。原因としては資材費や人件費の高騰。建築費の高騰の際に真っ先にやり玉に挙げられるのが資材費や人件費です。確かに資材費も上がり続けていますし、人件費だって上がっていると思います。たださすがにそれだけで2倍近く膨らむのだろうかと。

建築工事で真っ先に叩かれるのは資材販売店です。どの職種も相見積もりをとったりはするでしょうが、技術系の職種は、技術の違いがあるため単純に値段で比べられない部分がありつつ、職人も少なくなってきているので、売り手市場感もあり比較的強気で交渉できます。しかし資材に関しては、どの販売店も同じものを扱うのでシンプルに価格の違いが比較要素になりますし、不足要素もないので全然買い手市場です。

なので私たちの業界…他の小売業もそうだとは思いますが、価格転嫁というのは容易ではありません。立場としては非常につらい。じゃあ値段を下げればいいじゃないかとなりますが、そう簡単にはいきません。値段を下げてしまうとその分を量でカバーしなければいけない。量があるうちはいいけれど、それがなくなってしまったときの反動で会社は大きなダメージを受ける。そしてその反動は元請、さらには発注者まで及びます。たまにニュースにもなる手抜き工事はその一例じゃないでしょうか。値段を一つ下げることで影響は様々なところに及びます。

コストの見直しや価値向上で利益を確保するのが正論でしょうし、当然どこの企業でも考えていることと思いますが、なかなかそうもいかない部分もあるのが現状。建築に関してはどの下請け業者も予算カツカツでやってるはず。

私も一消費者としてはなんでも安い方がいいですが、その商品、サービスを受ける裏には大きなコストがかかってるということを意識し、感謝しなければいけませんね。