新設住宅着工数減少、少子化など

2024年の新設住宅着工戸数が発表され、全国的にみると前年比3.4%減だったとのことです。
青森県を見てみると木造の新築着工棟数は4,043棟(前年比95%)で減少の一途をたどっています。少子高齢化という大きなトレンドの中では人の減少による住宅需要の減少もありますが、子どもがいない家庭も増え、子どもがいなければ持ち家なんていらないという価値観の変化による影響も大きく、住宅着工棟数の減少は加速度的に増えていくのではないかと思っています。

少子化がもたらす様々な影響

建築関連の様々な会合に参加するとまずはじめに語られるのが人材不足。これは建築業界に限ったことではありませんが、3Kの仕事の代表のように語られる建築はより顕著だと思います。

低賃金で働きたい人はいない。

これはごもっともなのですが大切なのはその先、どうやって賃金を上げていくかです。こういう問題の矛先は国に行きがち、政治家も賃金を上げるために頑張るとは言いがち、そして私たちも政治なんとかしろよと言いがち…のような気がしますが、果たして政治の力でどうにかなるものなのか。下請法の改正など政治の力が必要な部分はありますが、現場では親会社というより同業者との闘い。結局は自助努力が一番だと思ってます。

とかく建築関連業種は仕事のわりに安く見られがちな気がしています。例えば大工さんに頼んで1時間で終わる仕事で数万円払って高いと感じるか安いと感じるか。多くの場合後者だと思いますが、じゃあ自分でやってみてくださいよと。

一段の棚を付けるためにどれだけの労力、技術が必要か。

棚板を選ぶ、切る、やすりをかける、塗装する。下地を探す、水平を確認して落ちないように打ち付ける。そのために必要な道具、掃除や運搬、養生など付随する作業は沢山あります。これを自分でやろうとすると本当に大変。自分でやろうとすると一日がかりになるうえ仕上がりも非常に雑。それだけ職人さんってすごいんです。それが知られていないのが現場にいる人間として非常にもどかしい。

個々で価値を高めることも大事ですが、全体のイメージを変える、底上げをするためには関連業者手を取り合って進む必要があると思います。弊社の取組の一つでもあるタイル張り体験もその一つ。直に触れてもらい、その難しさを知ることでその魅力や難しさが伝わり、少しでも職人の価値が見直されることで価値を上げたいと思っています。

住宅着工棟数の減少から話はだいぶそれましたが、今はあまり影響を感じなくてもじわじわと致命的な影響を及ぼすであろう少子化。他人事でなく自分事として真剣に取り組まなければいけない段階にきているかもしれません。